上書きできない常識

だから170cmはデカいっつってんだろ!!!!!!!

カラフト伯父さん見てきたけど最早いのおくんは食品ではない

(!)ネタバレ

(!)他担感想文

 

 

 

とてもいい席だった。いのおくんがカーテンコールで立った瞬間真正面に来るような、グローブ座に後ろすぎるというほどの後ろはないが後ろ過ぎず前過ぎず私ちょっと見学に来た偉い人とかなんじゃねえかみたいなそんな席だった。だからとっても眩しかった。

カラフト伯父さんという物語は、いのおくん演じる徹くんが職場から軽トラに乗って帰宅するところから始まる。その後セット転換はなく、全てのシーンがいのおくんの自宅である寂れた鉄工所で動いていく。徹くんが帰宅するのは夜なので、車のライトが付いていて、とてもいい席なので全身にヘッドライトを浴びる。後ろのお姉さんが眩しいと言いながら笑っていて、私の隣のお姉さんがその話し声に気を取られていて、私はいのおくんが全く見えなかった。私は車の免許を取るためにちょうど今教習所に通っているのだが、なんかこんなんこの間習ったなーとか視界がないのでうっすら考えていた。眩惑。対面の車のライトが眩しくて前が見えなくなること。目がくらんで正しい判断ができなくなること。目をくらましてまどわすこと。馬鹿なオタクなのでかわいい子が眩しすぎたときに使おうと思って覚えてしまった。

www.karafuto-ojisan.jp

この舞台の面白いところとして、公式サイトのあらすじがストーリーを完璧にまとめきっちゃっているところが挙げられる。主人公の徹は、小さい頃事あるごとに自分のもとにやってきて色々なことを教えてくれたかっこいい「カラフト伯父さん」が、震災や、その後の自分の困難な時に仕事を理由にして現れず、更にその仕事に失敗し借金を抱え大人になった自分を頼ってきたということに対し軽蔑し憎しみを抱えている。徹くんのお父さんである「カラフト伯父さん」は、徹くんに会っていないので、自分が会いに来なかったから嫌われているなど知る由もなく、「ここに来れば簡単に金が借りられる」と言って東京からやってくる。家にやってきたカラフト伯父さんに徹くんは自分の絶望を伝え、父子は新たな親子として再スタートを切る。エンディング。キャストは3人しかおらず、セットも転換せず、その上で本当にこういう、なんというか、まとめようと思えばあらすじにストーリーが入りきっちゃうような話なので、冗談抜きでいのおくんの類稀なる演技力に全てを委ねた作品となっている。で、このいのおくんの演技が本気でマジで最高だ。

徹くんは感情の豊かな普通の男の子だ。アドリブの掛け合いの中で徹くんが選ぶ言葉の中にはいのおくんの影が見えるものもある。私の感想としては、徹くんはいのおくんと完全に分離してはいなかった。股おっぴろげてソファーに座って冷蔵庫を足で蹴っ飛ばしたと思ったらストリッパーの仕事について聞いて狼狽えて照れる。泣いたり怒ったり笑ったり呆れたり照れたり黙ったり優しくしたり軽蔑したりと忙しい徹くんの心にいのおくんが馴染んでいた。徹くんの一部分に上手く収まっているいのおくん、といった感じで、動作にいのおくんが混じるたび異様に興奮した。

そしてそのいのおくんを内包した徹くんは、最後の山場で、どうして俺をそんなに嫌うんだとカラフト伯父さんに問われて、キレる。

これはもう流石に舞台を見てくれとしか言いようがない。汗を額から滴りそうなくらい流す、普段だったら溶けかけの雪見だいふくみたいとしか見えない綺麗な顔が寂しさに歪んでいるのを見て呆然としてしまった。グローブ座にいた人のうち半分ぐらいはいのおくんのことを食品と思っていそうだが、あの徹くんを食品に見立てられる人はそうはいないだろう。それほどまでに人間だった。本当の気持ちを話した家族は分かりあい、徹くんはお父さんを東京に送るため車を出す。いのおくんの演技に圧倒されて固まったままの客席が、発進後即エンストしたいのおくんの運転で大爆笑して終わり。理想のハッピーエンドだった。カーテンコール後に荷物をまとめながらわっと盛り上がって話の飛び交った客席が舞台の面白さを表していたように思う。

ノリに乗ってるじゃんぷちゃんのノリに乗りまくってるいのおくんの初主演舞台、○○出のJUMP担は永遠の新規直前、最後のラストチャンスを逃したくないあなたは必見だよ!