解釈が難しい舞台と巷で話題!の殺風景を観劇されてどのような感想を持たれましたか?やんわり抽象的でも良いのでななさんの感想を聞きたいです。

解釈が難しい舞台と巷で話題!の殺風景を観劇されてどのような感想を持たれましたか?やんわり抽象的でも良いのでななさんの感想を聞きたいです。

 

※きっとネタバレ!
※他担の感想
※「我が一家全員死刑」を含む資料未読
※舞台見てないけど見に行く予定のない人の為のあらすじ
ひかにゃん一家「借金が苦しい」
ひかにゃんのお母さん「隣に住んでる金持ちムカつくから殺したい」
ひかにゃんのお父さん「じゃあ殺そう」
ひかにゃんのお兄ちゃん「殺したら金くれ」
ひかにゃん「……」
ひかにゃんのお姉ちゃん「カナブン」
 
巷で話題に!?そうなんですね!?だとするとその理由は主人公のひかにゃん演じる稔くんの心理描写が極端に欠けているからではないでしょうか。
言っていることとやっていることがめちゃくちゃなのは置いておいて、稔くん以外の家族には思想も夢も考えも、取り調べや本人の言葉を通して描写されています。しかし稔くんは公式サイトに「家族の絆を切望する次男」と書いてあるだけで、最後の最後、お姉ちゃんが「稔は何のことはない普通の男の子だった」と証明するまで、ひかにゃんがその身一つで演じきっているだけです。まあそれが何よりもかっこいいんですけど!
 
えっと…感想でしたっけ?すごく丁寧な舞台だと思いました。福岡の方言である大牟田弁で役者の方々が喋る言葉は私にとって聞き取るだけで難しく、かわいいかわいいひかにゃんの顔をじっくり見ようとすると話題が飛んでるなんてザラで、舞台が始まって最初の10分ぐらいはストーリーを捨てて可愛い顔を大切にした方がまだマシなんじゃないかと思ったものでした。
でもそうじゃないんですよね~。東京から来た刑事さんといういかにもな説明役をはじめ、状況説明は丁寧に、分かりやすい部分は軽快に、大事なセリフはゆっくりと話す。丁寧に丁寧に、客が置いてきぼりにならず退屈にもならない世界を作ろうとしているのが分かってすごく嬉しかったです。表現を突き詰める!理想を追い求める!とかなんか偉い演出家さんだかなんだかが言い出した結果、自担が客置いてけぼりの訳分かんねえ舞台に出た経験なんてもの、ジュリーの元で青春を過ごしたオタクの皆さんはあるんじゃないでしょうか。
あとジャニヲタ的物の見方としては何より終演後の客席が最高ですね。だってキャメルのコートを着たお姉さんが飛行機のチケットを持って、その横にいた双子コーデのお姉ちゃんたちがフワフワのバッグを持ってですよ、何から話したらいいか分かんないからとりあえず「光くん途中タバコ左手で持ってたね…」とか言うんですよ!?これ以上のリアルないですよ!これはどこにでもある田舎のどこにでもいる家族の話なんて説明されるより、よっぽど雄弁な真実ですよ!これは現実だ!って私の頭の中の勝利さんがJWエディションで殴り掛かってくる感じですよ!よく文化村おばさんたちの話で「酷い現実や貧しさを描いた演劇に感情移入する私たちは舞台に通えるくらいには生活水準が高い」みたいなのがありますが、渋谷で飯食って帰るジャニヲタと田舎で借金に追われて暮らしている家族、それが地続きで存在しているということを証明するハブとしてのひかにゃん、だからこそひかにゃんなのかな~なんて思ったりしましたね。
あと私やぶひか厨じゃないんですけど(ここまでテンプレ)「幸せになりたい」って感情を真反対に突き詰めていった作品だと思うので40カラットは見ておくと朗らかな気持ちになれますね。見てねえよ!ってジャニヲタの皆さんは49準備しとくといいですよ。私は終演後もう頭使いたくないって感情が一番最初に来て猛烈にチキンバスケッツが見たくて死にそうになりました。